相続で「もめない」ためには,「もめる原因」を,まず正しく把握することが必要です。もめないようにするには,その「もめる原因」を一つ一つ,解消していけばよいのですから。
「もめる原因」は,以下の点が考えられます。
(1) 相続財産の範囲が不明瞭である。
親がどこの銀行に,どれだけの財産を持っているか,正確に把握している子供たちは少ないです。いざ,親がなくなってみると,思っていたより親の財産は少なかった・・・。そう感じたときに,「あの預金はどうなった?誰かが,こっそり親に資金援助してもらったのではないか?」といった疑念が起こり,紛争が泥沼化していきます。
(2) 相続財産を管理している人への不信感
亡くなった親が子供のうち誰かと同居していた場合,通例,親の財産は,同居している子供が管理してきたこととなります。
同居している子供に対する不信感がある場合(親の預金を,いろいろと口実をつけて流用していたのではないか,といった疑念),流用の事実のあるなしに関わりなく,その「不信感」が原因で,紛争が泥沼化していきます。
(3) 兄弟姉妹間の不公平感
兄弟姉妹のうち,一人だけ大学を出た,自宅の新築資金を援助してもらった,などという事情があるとき(あるいは,そういう事実がなくとも援助の事実があると思い込んでいるときに),他の兄弟姉妹は当然ながら潜在的に,不公平感を持っています。相続のときにその不公平感が爆発し,紛争が泥沼化することになります。
(4) 第三者(配偶者等)の関与
兄弟姉妹どうしでは,円満解決の気持ちがあったとしても,兄弟姉妹の配偶者がいわば「がんばるよう尻をたたく」ケースもあります。これも,紛争が泥沼化する一因です。
もし,一つでも思い当たる部分があれば,将来,親御さんがなくなられたとき,「相続争い」が生じる可能性は十分にあるといえます。
では,「もめない」ように予防する方法はあるでしょうか?次をご覧ください。
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